るに

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私はずっと空を飛んでみたかった。
漫画やアニメでよく見る、
非現実的な
超能力や魔法に憧れた。
その中でも特にやってみたかったのが
空を飛ぶことだった。
海の上を飛んだり、
雲の上から夕日を見たり、
きらめき輝く星空を
街明かりの少ないところまで
飛んで見に行ったり。
でも
どんなに憧れようと
人間は空を飛べない。
何年後かには飛べる何かがあるかもしれないけど、
今すぐ飛べるようになるのは無理だ。
不可能。
諦めるべき夢。
頭がいい方ではないので、
飛べる装置を作ることもできない。
それでも憧れてしまうのだ。
ある日、
何もしたくなくて
部屋にこもってた。
でも新しい漫画が欲しくなって
買いに行った。
なんでもよかったんだけれど、
すごく惹かれる非現実的な表紙を見つけ
すぐ読みたいと思って買った。
内容はまさに私が求めていた世界そのものだった。
本気で漫画の中に行きたいと思ったのだ。
でもわかってる。
叶わないことだって。
だから私は夜、
せめてもの抵抗で
"Good Midnight!"
と呟いている。
それは漫画の最初の一言であり、
最高の一言だ。
とても気に入っている。
いつか叶わないものが叶いますように
という
願いを込めて。

9/4/2024, 4:15:34 PM