「フゥー」
彼が吐き出したタバコの白い煙が、空に溶ける。
「煙、かからなかった?」
私を気遣ってくれる彼に
「大丈夫だよ」
と答えると、彼はホッとした表情になる。
「大切な人がそばにいるんだし、タバコ、やめられたらいいんだけど…」
そう言う彼に
「そうだね。健康を考えれば」
そう言うと、彼は苦笑いする。
「でもね、困ったことに、タバコを吸ってるあなたの仕草を見てるのが、私は好きなんだよね」
困ったね。と笑えば、彼はハハッと笑う。
「少しずつ。だけど、やめられるように頑張るね」
「うん」
良いことだけれど、いつか見れなくなる仕草。今のうちに堪能しておこう。と思うのだった。
5/21/2025, 9:38:36 AM