紅林真叶

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始まりはいつも


始まりはいつも、最悪。

私の家は、いわゆる転勤族。
父親の仕事の関係上、転校が多かった。
幼稚園で2回。
小学校で4回。
中学で1回。
高校で2回。
大学では、学生寮を利用していたため、私自身に影響はなかったが、4年の間に3回転勤している。
研究職に就きたかった私は、大学院に進学。

大学院を出て、研究者に進んだは良いものの、職場での人間関係では、少しこじれていた気がする。
私は、2つ年上の人に食事に誘われた。
女性で研究職に就く人は多くない。
恐らく、仕事上での誘いなのではなく、プライベートであることは、すぐにわかった。

過去を振り返れば、学校が変わるたびに毎度自己紹介をしていたけど、二週間も経てばクラスの男子に告白されていた。
その度に、女子からの反感を買い、いじめを受けていた。でも、男子が庇うから、いじめはどんどんエスカレートしていった。

しかし、この職場にいる女性は私を含めて4人しかいない。学生時代のようなことは、数年経っても起きることはなく、むしろ「モテて羨ましい〜」と言われる始末である。

私は、始まりはいつも最悪だと思っていた。
けど、その気持ちは今日でおしまい。
扉を閉めて、鍵をかける。その鍵は、どこかに捨ててしまった。
だからこの扉は、生涯開かずの扉。


後悔はないよ。
だって、自分で決めたんだもん。

10/20/2022, 2:11:50 PM