kiliu yoa

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 陽の光は、生命の源。しかし、『薬も過ぎれば毒となる』ように、強すぎる日差しは命を少しずつ削り、やがては多くの命を奪う。

 私の村もそうだった。日照りが続き、嘗て豊かだった土地は不毛の荒野になった。

 男たちは、街に奉公に出た。女たちは、少しでも稼ぐために農耕に内職…時には旅商人に身体を売り生計を立てた。子どもは口減らしで大半は売られ、残った子どもは家のことを一通り行いながら赤子をあやした。

 あの頃は、皆、生きることに精一杯だった。

 そんなときに、餓えて死にそうなの旅人さんがこの村を訪れた。

 女たちは村の少ない食料を旅人に分け与え、子どもたちが交代交代に介抱してくれたのだ。

 村の人々のお陰で、旅人さんの身体は順調に回復していき、皆に見送られながら村を後にした。


 その1年後のことだった。旅人さんは、またこの村を訪れた。村の人々に水の引き方に溜め方、乾燥に強い作物の育て方を教えてくれた。また、村の人々に文字を教え、多くの本を与えた。そして、村の人々の生活も少しずつ豊かになり安定していった。

 この頃になると男たちは、街から帰ってきた。私のお父さんも帰って来れるようになった。女たちやお母さんの負担が減って、困ったように笑うんじゃなくて、幸せそうに笑うようになった。子どもたちは、外で遊べるようになった。売られた子どもたちも少しずつ帰ってきた。

 少しずつ村の張り詰めた空気はほぐれ、皆、生き生きしていった。

 旅人さんは、この村を救った英雄でこの村に残り、みんなの先生になった。

 今では、笑顔で溢れる村となった。

 

 


 

 

7/2/2023, 2:08:22 PM