川柳えむ

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 カラカラに渇いていた。愛に飢えていた。
 遠くに蜃気楼が見える。
 そこへ向かって、手を伸ばした。
 あぁ。あれは、オアシスだ。
 心を潤す水が欲しかった。
 甘い密に誘われるように、力を振り絞って、辿り着いた。
 でも結局、そこには何もなかった。
 蜃気楼は蜃気楼で、オアシスなんて幻だった。
 余計にカラカラに渇いた心は、灼けるような陽射しの下で、このまま朽ち果てていくのだろう。


『オアシス』

7/27/2025, 10:33:54 PM