崩壊するまで設定足し算

Open App

▶55.「クリスマスの過ごし方」
54.「イブの夜」
:
1.「永遠に」近い時を生きる人形‪✕‬‪✕‬‪✕‬
---
人形は、研究施設の資料を次々とデータ化して取り込みながら、ナナホシに質問した。

「フランタ国には、クリスマスという文化はないのだが、どういうものだ?」
「クリ・ス・マス。イレフスト国ノ建国記念日。庶民ハ日頃ノ感謝ヲ込メテ贈リ物シ合ウ、ソシテ建国記念ヲ祝ッテ、オイシイモノ食ベル」

ナナホシも崩れた木材に乗って上から取り込んでいる。ただ、資料のページをめくれないので、そこは代わりに人形がやっている。
お互い機械だからこそ出来る無言の連携技だ。

「初代王様ガ側近3人ヲ労ッテ贈リ物シタ。ソレガ始マリ」
「ではクリ・ス・マスの語源は側近達の名前か?」
「違ウ」
「ではなんだ?」
「本当ノ由来、王様ノ好キナモノ。クリスタル・ストロベリー・マス(math:算数)。忙シイ王様ノ休日ダッタ。デモ側近二贈リ物シタ、ソレモ本当。」
「本当の由来、ということは一般には広まっていないんだろう。どうして知っているんだ?」
「局長ガ、研究所ヲ作ルノニ必要ト言ッテ、全テノ資料閲覧許可モギトッタ。ソノ時二取得シタ情報」

「ナナホシは知識のデータが豊富なんだな」
「ウン」
「ここの資料は入ってないのか?」
「入ッテナイ」
「そうか」

それからしばらくの間、紙をめくる音だけが続いた。

12/26/2024, 5:59:23 AM