成人男性が一人入れるぐらいのロッカー。
ここに恋人を入れ、扉に付いている音声パネルでこういう風になってほしいと言うと、理想の恋人になるらしい。
彼氏にバレないよう、サプライズをしたいと言って目隠しをしてもらい、ロッカーに入ってもらった。
扉を閉め、パネルに向かって理想を唱える。
「イケメンでイケボで身長が高くて優しくて浮気しない私のことをずっと愛してくれる彼氏になって!」
まるで呪文を唱えるように、息継ぎせず一気に言った。
すると、ロッカーの隙間から白い煙が出てきて、扉がゆっくり開く。
「やぁ、ハニー。生まれ変わった俺だよ」
中から出てきたのは、身長が高くてイケメンでイケボの男性。
最初は嬉しくて胸が高鳴ったが、だんだんと違和感に思えてきた。
以前の彼氏の面影が全くない別人だからだ。
「あの……もう一回ロッカーに入ってくれませんか?」
違和感から不安に変わり、男性に敬語でお願いした。
「そりゃないぜハニー!俺は君の理想だろ?以前の男はもうこの世にはいない。俺が今日から君の彼氏だ」
「そ、そんな……」
「さぁハニー。新しい道を一緒に歩んでいこう。これからはずっと一緒だ!」
男性に手を掴まれ、そのままロッカーから離れていく。
彼氏がもうこの世にいないなんて、私はなんてことをしてしまったのだろう……。
理想の彼氏を願った私のわがままが、好きだった彼氏を消してしまった。
5/20/2026, 10:05:00 PM