ミツ

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「絶対来てね」

初めての友達と言える存在と約束をした。

「分かってる、そっちこそちゃんと来いよ」

相手にとっては軽い約束だったのかもしれない。

でも、俺にとってはとてつもなく大切な約束だった。

なんせ初めての友達と初めての花見だ。

まだ一週間も先だと言うのに既に興奮して寝付けなかった。

毎日布団の下で喜びを噛み締めた。

そんな俺の状態に興味も示さない冷めた親。

今日もリビングに千円札が置かれており、しばらく帰らないと書いた置き手紙があった。

しばらくというのは大体一週間くらい。

両親共々浮気性で帰ってくる時は大体知らない大人が一緒だ。

知らない大人はいつも千円くらい俺にくれる。

そこは嬉しい。


今日はおにぎり一個。

御馳走だ。

食べられないことなんてザラにある。

真っ暗な部屋。

空き缶や吸い殻が散乱している。

だから臭い。

服にも匂いがつくから落ち着けない。

でも、少し安心もする。

家の匂い。

そんな匂いがしない部屋が二部屋ある。

それは両親の寝室と風呂場。

まぁ、風呂なんて一週間に一回くらいしか入らないから対して気にならない。

両親の寝室には一度も入ったことがない。

入ろうとして両親から同時に暴力を振るわれて以来近づきさえしなくなっていた。

少しのトラウマになっている。

そんな寝室からは両親が帰ってきた時だけ喘ぎ声が聞こえてくる。

煩くて夜は一向に寝付けない。


結局、来なかった。

翌日約束の時間1時間前に待ち合わせ場所で待っていたのに現れなかった。

寝坊でもしたのか、来たくなくなったのか。

連絡手段がなかった為、確認はできなかった。

嘘つきなんて怒る資格は俺には無い。

約束なんて一回破られたくらいで凹んでたら駄目だ。

そう思ってなんとか涙を我慢した。

それから幾度も約束をしては破られ耐えてきた。

問い詰めなかったし相手もなにか言ってくる事は無かった。

そうやって何となく疎遠になっていって初めての友達とはあっけなく終わった。

高校行って卒業して就職して。

何となく過ごしていたらあっという間に20歳になって。

成人式で久々に顔を合わせた友達だった相手は嬉しそうに笑っていて、何も無かったかのように。

聞いてしまった。

「しっかし、あいつ何も変わってないのな。なんか可哀想〜」

「また、ドタキャンしてあげたら?きっと喜ぶよ」 

「ブッ、アハハハ」

酷い。

別に良かった。

分かってた。

遊ばれてるんだろうなって。

でも、本当だったらって僅かな希望を胸に待っていた。

だけど、彼のだけの意思じゃ無いんだって今初めて知って。

悲しかった。

何で悲しくなったのかは分からない。

とにかく悲しかった。

成人式が終わった時には手のひらは真っ白になっていて、離した時すごく痛かった。

外は雨が降っていた。

傘を置き忘れた事に気がついて、戻る気にもなれなくて、雨が止むのを待った。

その間、涙が溢れないように耐えた。

昔と同じで耐えることしか出来ない自分に嫌気が差した。

そんな事を思って余計に悲しくなって、結局涙が出てきた。

もう良いや、何もかも面倒くさくなって。

無駄なプライドだけはあるから、雨の中に突っ込んで。

カモフラージュと言って良いものか。

どうせ誰も気にしてないのに、分かっているけどもしかしたらって思ってしまって。

雨は、俺の心の中を現しているみたいにそれから3日、止むことはなかった。


                            ー降り止まない雨ー

意味わかんない感じになってすいません。

伝わってほしい。

5/25/2024, 11:23:31 AM