しわくちゃの顔が一点をぼうっと見つめて立ち尽くす。
繋がれた手の先には二年ぽっちのいのち。
ももひきと軽快なメロディを紡ぐシューズは同じ方を向いて。
それでも思考の波は寄っては返す。
天国というものははたして人間がたどり着けるものか。
生まれたてはおろか、年老いた者にだってわからない。
地獄はすぐそこ足のそば。
がぱりと口を開いた暗闇。
引きずるのはどちらの足か。
引き上げるは光のしるべか。
/天国と地獄
くらい夜道を二輪で駆ける。ふと薄明い街灯のトップから離れたところに人影を見た。地獄を模した空(くう)を、路地をじいっと、何に邪魔されるでもなく睨み続ける老婆。子供は大人に見えないナニカが見えるという。あの老婆は、心にこどもを飼っていたのかもしれない。
5/27/2024, 12:07:31 PM