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これは夢だ。
私はひとまず椅子に腰掛け心を落ち着かせる事にした。ベッドの枕元には本や飲みかけのペットボトルが置かれ、デスクの上には昨夜イラストを描いた時に使ったペンがそのままで散らばっている。お世辞にも綺麗とは言えない、いつもの私の部屋....の中に、私が一瞬で夢だと決めつけるほど異質な存在があった。
「どうしたんだ?急に座って、変なもんでも食って腹下したか?w」
この腹立たしい男がその異質な存在の正体である。こいつは小学校からの付き合いになる私の幼なじみだ。一言余計な事を言わないと気が済まないという、いい性格をしているが、私が苦しい時は黙ってそばに居てくれるような優しいやつだ。
ーーー去年、病気で亡くなっている。
「今日はファンタジー映画持ってきたんだよ。早く観ようぜ。」
あぁ、こんなふうに一緒に映画を見ていたな。映画の種類は様々だったが集中力がない私たちは途中でいつの間にか寝ていることが多かった。テレビがついて映画が流れ出す。私は隣に腰掛け、映画を見ている幼なじみをしばらく見つめていた。画面を眺めていたかと思うと、もうこくりこくりと眠そうにしている。私の意識も朦朧としはじめ、夢の終わりをつげているようだった。

お願いだから覚めないでくれ。ずっと、ずっとこのまま...

1/12/2024, 1:15:56 PM