**「双極の正義」**
深い闇が街を包み込む夜、その街角には一つの影が立っていた。黒いマントをまとい、目元を隠すその男は、悪党として知られていた「カイ」。カイの姿を見た者は皆、彼を恐れる。それは彼が冷酷無比な犯罪者としての評判を持っていたからだ。
だが、カイには一つの信念があった。「悪は正義の道を切り開くための手段である」と。
今日もカイは、その信念のもと、腐敗した政治家を標的にしていた。彼の目には、その政治家の裏切りや欲深さが映っていた。国民を苦しめ、自らの私利私欲のために動く者が「正義」を語ることに、カイは強い憤りを感じていた。
「お前たちが正義を語る資格などない」とカイは心の中で呟いた。
夜明け前、カイはその政治家の邸宅に忍び込み、密かに計画を遂行した。彼にとっては、これは「悪」ではなく、腐った社会を浄化するための「正義」だった。
一方、カイの行動を追う一人の警官がいた。名をリオといい、彼は幼い頃、カイによって父を失った過去を持っていた。父は正義感溢れる警察官であり、社会を守るために命を懸けていたが、カイによって命を奪われた。
「カイは悪だ、必ずこの手で裁きを下す」とリオは誓っていた。
リオにとっての正義は、カイのような者をこの世から排除することであり、カイに対する復讐心が彼を突き動かしていた。
カイはリオの存在に気づいていたが、彼を殺すことはなかった。なぜなら、かつてリオの父もまた、腐敗した権力者に反旗を翻していたことをカイは知っていたからだ。しかし、リオはその真実を知らない。
二人の正義はぶつかり合い、夜の街で次第に交差していく。カイにとって「正義」とは腐敗を根絶する手段であり、リオにとって「正義」とは父を奪った仇を討つことだ。
だが、真実を知る時が来た時、二人の心にはどんな変化が生まれるのだろうか。正義とは何か、そして悪とは何か。その境界線が曖昧になる中、カイとリオはやがて同じ敵に立ち向かうことになるのだった。
9/25/2024, 12:53:37 PM