海を見ていた。静かに暮れてゆく、青い海を。
「……はぁ」
堤防に腰掛けて、私は大きくため息を吐く。うん、思い出したらまた泣けてきそうだ。
「なんであそこで失敗するかなぁ……」
今日は高校最後のコンクール、その中で、ソロを賜っていたんだけれども。
「はぁ……」
一番のハイノートを、思いっきり外してしまった。そして結果は銀賞。皆からは「まあいいんじゃない?」という声も聞こえてきたけれど、それでも私が足を引っ張ったという事実は変わらない。あ、また涙出てきた。
ひとしきり泣いて、涙の跡も乾いた頃。夕日に赤く染まる海に背を向けて、私は家路を辿り始めた。
7/26/2025, 10:17:16 PM