ツキウサギ

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2月、あなたに恋をした。名前も知らない一目惚れだった。
4月、新しい教室に入ると風の噂で理系だと聞いたあなたが後ろの席にいた。
5月、あなたの隣にいるために必死に話しかけた。
7月、あなたから好きな人ができたと相談された。私の親友だった。
10月、フラれたと聞き慰めるふりをして喜んだ。
2月、0時ぴったりに送られたあなたからの「17歳おめでとう」
3月、強がりで言った「お前と別のクラスがいい」
4月、照れ隠しの「またお前が後ろとか最悪」
5月、彼女ができたときいた。あなた好みの年下の可愛い子だった。
10月、志望校が東京だと知った。不純だが私も東京への進学を決めた。
1月、彼女と別れたと聞いた。そして志望校が大阪になったことを知った。
2月、今年も誰よりも早く送ってくる「おめでとう」と机に置かれた不器用なプレゼントに頬が緩んだ。
3月、今日が終わったら私は東京へ、あなたは大阪へ行く。

いつも通り「ばいばい」と告げ反対方向に歩き出す。
明日になればまた会えるような気がした。

校門をくぐった瞬間になるスマホ。画面に映るのはあなたの名前。
「お前がいてくれてよかったお前のことが好きでした」

振り返っても君はもういなかった。

10/24/2023, 4:14:11 PM