およそ野外とは縁遠い生活を送っている私が今夏、訳あって久しぶりに田んぼの畦道を歩いた。
太陽の下、日に焼けると心の中で何度も呟きながら。
まだ青い稲の根元には茶色いカエルたちが潜んでいた。泥水で半身浴状態のカエルは動くものの気配を感じるとピッと跳び、小さな波紋だけ残して姿を消す。見失うとなぜか逃げられた気分になった。
カエルですら干からびないよう水の中にいるのに……。
太陽に当てられて疲れきり、靴に土がつくのを気にしながら黙々と歩く。ふと、むかし裸足で入った田んぼの泥が生ぬるかったことを思い出した。
『太陽の下で』
11/26/2023, 12:12:38 AM