川柳えむ

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 自尊心をたくさん傷付けられて生きてきた。
「生きることに意味なんてないんだ。特におまえみたいなのは」
「おまえが何をやっても無駄だ」
「勉強なんて意味のないことしてないで家のことをやれ」
「価値がない。おまえが生きているだけで金がかかるんだ。せめて金をとってこい」
「邪魔だ。早く××」
 傷付けられて、気付けられて、心はぼろぼろで。自分の惨めさに泣きそうになった。
 外に追い出され、雨が降り出した空を見上げて、この雨と一緒にどこかに流れて消えていきたいと思った。
 けれど、公園に咲いた花の葉の上で、カタツムリがゆっくりと進むのを見て、雨に飛び跳ねるカエルを見て。
 誰かにとって煩わしい存在でも、意味がないものなんてないと、そんな些細なことで気付いた。このカタツムリやカエルだって、こうやって気付かせてくれた。
 意味がない命なんてない。意味がないことなんて何もない。意味を見出すのは自分だ。
 だから、生きてやる。
 歯を食いしばって、みっともなくたって、全力で生きてやる。自分が正しいと思うことをやって、いつか自分だけの為に生きてやる。
 生きる意味はここにある。自分だけが解っている。


『意味がないこと』

11/8/2023, 11:03:42 PM