「やっばい……」
次は体育の時間。校庭に集合してサッカーをやるそうだ。皆張り切ってすぐ校庭へ駆けていく中、私だけ教室に取り残されていた。そう、遅刻だ。
「さっさと着替え終わらないとチャイム鳴るじゃん……」
もはや半分ほど諦めながら少々急ぎめに着替えをしていた時。ふと、教室を見渡した。
先程までガヤガヤと騒がしかった教室に、いきなり静寂が訪れている。そんなことに、改めて気がついた。自分の声のみが響く場所。
「やばいそんなこと考えてる場合じゃない!」
ちょっとナイーブな方に考えが落ちていた。急いで切り替えやっと着替え終わる。
「急げー!!」
廊下を早歩きと走りが入り交じったような歩き方で歩いていった。
人の声が一切消えた、誰もいない教室。
カーテンが、開いた窓から入る風に揺られていた。
#誰もいない教室 0907
9/7/2025, 2:58:41 AM