「だから、一人でいたい」
私には3歳離れた姉がいる。
姉はお世辞にも勉強ができる方ではなく、学年順位は下から数えた方が早い方だ。
対人関係も上手い方ではなく、人見知りが激しい姉には友達が少なかった。
補足すると、姉は学校に毎日通っている。勉強はできずとも、友達が少なくとも、姉は強い、一人でも生きていける強さを持っている。
実際問題、料理はできるし、整理整頓は姉の得意分野だ。
加えて、姉には芸術の才能があった。
SNSでしばしば自作の絵をあげているようだが、学生イラストレーターとして名を轟かせているようだ。
将来はイラストレーターになるのだろうか。
いや、絵だけではない。
まだネットには上げていないようだが、作曲もしている。一度、姉の部屋に侵入し、パソコンを勝手にいじってみたが、姉の作る音楽は美しい旋律だった。
だが、そんな姉を両親は危惧する。
母は教師、父は医師という家庭に生まれた私たち姉妹は常に両親の期待を背負って生きてきた。
勉学至上主義の我が家では、芸術の才能があろうが、料理ができようが、そんなものは二の次で、学年順位は高位じゃなければいけないという暗黙のルールがあった。
私はその両親の期待に応え続けた。
いや、これからもそうするだろう。両親が敷いたレールの上で生きていくのだろう。
でも、姉は違う。
両親に抗い、自分の信じる道を生きている。
勉学至上主義の家で生活していたため、最初はダメな人間だと思っていた。
だけど、今はそんな姉が正直羨ましい。
自分の信じる道を歩んでいきたい。
――だから、一人でいたい。
姉のように強い人になるために。
7/31/2023, 11:43:26 PM