泣きたかった。
でも泣けなかった。
皆がこの青い空を喜ぶから。
「晴れたらいいな」って、皆が願ってたから。
あの人は雨が好きだった。
雨の匂いが好きだった。
窓に雨粒が当たる音が好きだった。
透明な水たまりが好きだった。
貴方と話せる雨の日が私も好きだった。
「ふたりで一緒に卒業式に出よう」って約束した。
卒業式が雨だったら、「頑張って外に出るよ」って言ってくれた。
大好きな雨と一緒なら、この身体にも力が入る気がするって。
動かない足も、動く気がするんだって。
卒業式は晴れだった。
桜の降る、見たことのない程綺麗な景色があった。
あの人の胸の音は動かなくなったと、電話があった。
どこまでも続く青い空。
きっと青い空に、君は吸い込まれてしまったんだ。
お題:どこまでも続く青い空
10/23/2024, 11:29:40 AM