「君からのLINE」
スマホが一瞬、震える。まるで喜びに打ち震えるようなその振動に、私の心も震わされた。君以外のLINEの通知は切ってあるため、その束の間の振動は君からのメッセージを受信したことを表すことが多い。期待に心を躍らせながらスカートのポケットからスマホを取り出し、画面を確認すると、
「もうすぐ雨が降りそうです」
ご丁寧にお天気アプリがしばらくの降雨を教えてくれたようだ。理不尽な恨みをお天気アプリに抱きつつため息をつく。そのままスマホのロックを解除し、最も開きやすい場所に設置されたラインのアプリを開く。ほんの少しスクロールしないと出てこない君のアイコン。その現状にまたため息をひとつ。少し前に交わしたやりとりは、君からの一言で始まり、私からのスタンプで終わっている。「この後雨が降るらしいよ」打ち込んだメッセージを紙飛行機に乗せて飛ばせないまま、初めから無かったことのように削除する。どうでもいいことをどうでもいい気持ちで君に送る勇気は、私にはまだない。
「いくじなし」
9/15/2024, 2:58:43 PM