わをん

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『小さな命』

一年前と比べて天気予報をよく見るようになった。小春日和はいっときのもので今日は冬らしく冷えた一日となりそうだ。
「きょうはくもりだね」
一年前には居なかった赤ん坊は泣いたり怒ったりと生きるのに忙しい。今は何を見てか機嫌よく笑って散歩の支度が終わるのを待っている。小さなポンチョに着られたようになった我が子の確かな重みを感じながら玄関の扉を開けば冷たい風が柔らかな頬を滑り小さくまばたかせる。梅の花や足下の野花たちはふいに差した陽光を浴びて春が近いと囁いていた。

2/25/2024, 5:37:59 AM