真っ白な紙に真っ直ぐに線を引く。特に終わりは決めていないからずっと飽きるまで、たまに折り返しながら書き続ける。
ふと気づいたら部屋に西日が差していて、顔を上げたら橙と赤が溶けて混ざりあいながら沈みかけていた。
少し熱中しすぎていたらしい。別に熱中するほどのことなんて何もないのにおかしなものだ。
握りしめていたペンをおいて、改めて紙を見下ろす。
真っ直ぐな線のはずがいつのまにかズレていってぐちゃぐちゃになっている。始まりも終わりもどこなのか分からないくらい、白い紙は黒いインクで埋め尽くされていた。
なんだか今の自分の心境をそのまま映したかのようで見ていられない。力任せに破いて破いて破いて、全てを一纏めにして欠片一つ残さずゴミ箱に捨てた。
些細な出来事をきっかけに捻れて終点すら見失った惨めな自分なんてこうあるべきなんだ。
ゴミ箱の中で影に沈む紙切れをみて一人自嘲する。
次の日燃えるゴミの回収日はいつだっただろうか。はやく燃えて消えてしまえばいいのに。ついでに自分も、消えてしまえば、なんて。
「…くだらない」
【題:終点】
8/10/2023, 2:16:36 PM