ぷぷ

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君と最後に会った日。

雨が降りそうで降らない、嫌な天気だった。

他愛もない会話をして
いつもみたいに笑い合って

お酒を二人で飲んで。

少しお酒が進んだ時
普段誰の悪口も言わない彼女から

上司の悪口がポロッとこぼれた。

私が何をやっても否定してくる
どれだけ頑張っても結果が出なきゃ褒めてくれない
ずっと叱ってくる、あれは人じゃない

段々と暗くなっていく表情を見て
私は何も言えないままお酒を飲む手が止まった。

しばらくの沈黙の後
彼女は長い溜息を吐いて

まぁ、頑張らなきゃだね

と、自分を鼓舞するように
力強く言ってお酒を一気飲みした。

あの時に、気付くべきだった。

次に会う約束は、1ヶ月半後だった。

海に行く予定を立てて
お揃いのビキニを買った。

楽しみだった。
高校時代からの大親友の彼女と思い出が増えるのは。

楽しみだった。
学生時代みたいにまたはしゃぐのが。

でも、その日は来なくて。

彼女のお母さんから
彼女が死んだと連絡が入った。

薬の過剰摂取をした状態で
お風呂に入って、そのまま。

彼女の最期を見た。
彼女は彼女のままだった。

遺書が無かったから、多分突発的だったんだろう。

明日も頑張らなきゃ。
でも頑張れない。薬を飲もう。

あぁ、お風呂に入らなきゃって。

彼女はきっと、そんな風に消えていった。

まだ夢でも会えてない。
お墓にすら行けてない。

君と最後に会った日
あの日から実は、時計の針が上手く進まない。

まだ取り残されている。
出来ればまた会いたいし、思い出を作りたい。

仕事の話もしたいし
今の私なら一緒になって上司を悪くも言える。

だからまた会おう。
また夏が来るから、あのビキニを着よう。

写真を撮って、BeRealにupしよう。

戻って来たら私が守るから
私が楽しませるから。

また会おう、会いたいよ。

6/26/2024, 3:16:56 PM