つっち

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「光と霧の狭間で」

長く降り続いた雨にも終わりが来たようで。
外から聞こえる雨音が弱まっていくのを感じた。
もうすぐ雨も止むだろう。

山間のこの場所は、激しい雨が降ると深い霧が立ち込める。もれなく今日もそんな日で、窓を覗くと家のすぐ側の電柱でさえも、霞んで見える。
目線を更に下に移す。水溜まりは、先程までは波紋が打ち消し合うように波打っていたが、水面が静かに灰色がかった曇り空をうつしている。

いそいそと、身支度を整える。
予報ではもう雨は降らないはずだが、念の為折り畳み傘も準備しておこう。
玄関を開けると、生ぬるい空気と湿気が身体にまとわりつくようで、不快感に少しばかり眉をひそめた。

先程窓の外を眺めてから15分程度しか経っていないが、雨はすっかり止んでいる。
立ち込める霧も直になくなるだろう。
空を見上げると、灰色の空からは太陽の光がまばらに差し込んでいる。足元の水溜まりも、光を反射している。


薄ら見つつある霧と差し込む光、これから晴れることを予感させるようにキラキラとした水溜まりは、どことなく神秘的に思えた。

未だまとわりつく湿気た空気の不快感と神聖さを感じさせる目の前の光景の落差が少しの気持ち悪さも感じる。



10/18/2025, 5:34:31 PM