幸せとは
「最近さ、涙もろくなったと思うんだ」
「何?更年期?」
花盛りの17歳である。
「え、そんな引かないでよ」
笑う時も下がり眉なそいつの申し訳なさは、いつも絶妙に察知できない。
「今までなんか見て泣くことなんてあんまりなかったんだけどね、べつに泣けるようなシーンじゃないと思うんだけど。」
「どれ?」
えーと、これ。 あぁこれか〜。
2人でスマホを覗くなら、机に置いたほうが見やすい。
視線は机と垂直に結ばれた。あ、アスパラ入ってる。だからか、しかめ面してたのは。
何話? 最終回。
「最終回はまあ…泣いたっていいよ」
「そういうもん?」
そういうもん。アスパラを避けつつ食べた肉巻きで、おうむ返しは少しくぐもっていた。
年末年始限定で再配信された数年前のドラマ。リアタイはしていなかった。
すればよかったとまでは言わないけど、もう少し早く、もしくは何十年もあとで、見ればな。と今思った。
主人公の母か、その母が恋慕っていたひとが、嫌でも自分達に重なる。
彼女らが生きた時代より、『それ』はあるものとされているけれど。私達の『これ』が果たしてどこまでかなど、物差しが無いから結局わからないままだ。
だから?だけど? 怖い。閉鎖的空間にいると、一緒にいる理由がいくらか省ける。2年で一緒に昼食べてたから。は、わざわざどちらかのクラスに集合するありていな言い訳に成れる。
今は一月。あと二ヶ月で消え失せる居場所。
1/5/2026, 2:06:00 AM