Open App

※1部トラウマを彷彿させる
表現がありますのでご注意ください


大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好


ポトリ

私の日記帳に綴られた愛の言葉が滲む
黒のインクがフワリと水の中を舞うのを見ると
突然全てが馬鹿らしくなって
机の上のものを全て薙ぎ払った

静かな部屋に派手な物音が響く

次いで私の笑い声が
この世のエラーのように
部屋の隅まで響いた後、溶けて消えていく

なんにも面白くないのに笑っている自分に
疑問符が浮かぶが、私の笑い声は止まらない
いつからか
気がついたら私の心と体は
乖離していた

先程壊れた機械のように綴った愛の言葉は
自分に向けてのものだった
センセイに書けと言われたから

自分のことを好きになりなさいと
好きでもない自分のことを大好きだと書けと
そう言われたから書いていたけど
左手が痛くなったからやめる


そうだ
私はまだ心と体が繋がっている部分があった
痛みだ
痛みを避けたいという
本能的な部分は未だ私の中にあるようだ
ならば
私が
嫌いな人にしたいことは…



気づくと私の右手には鋭く光るそれがあった


どうか私の好きな人が
今日も無傷で穏やかでありますように
そして私の嫌いな人が不幸せでありますように
私の歪んだ口角はそれだけを祈っていた





ふと私の日記帳に広がった
黒いシミに
深紅が重なるのを見て
蚊を潰した後のようで面白いと思い
笑おうとしたが
もう私の声は響いてこなかった

8/26/2023, 10:25:04 AM