親が引いたレールの上を進んでく運命。
僕は夢があったけど、それを親は望まない。
そんな葛藤が嫌になって、僕は逃げた。
全てがどうでも良くなった。
僕はとにかく高いところを探して登った。
ここから飛び降りれば、楽になるかな…。
そう思って柵を乗り越えたとき、
『自分で自分の人生を終わらせないで!!!』
と叫ぶ声が聞こえた。
その声の元を探していると、見つける間もなく声が聞こえた。
『死んだらそこで終わりだよ!生きてたらきっとなんとかなる!!!!』
そう叫ぶ声がさっきより近い所から聞こえた。
だんだんムカついてきて、僕は
『お前に僕の何がわかる!!』と叫んだ。
『わからないよ!!でも、俺は君に死んで欲しくない…』
その声は真後ろから聞こえた。
僕が振り返るとその子は優しくそっと僕を抱きしめた。
その優しい温もりに僕は涙が止まらなかった。
親にすら抱きしめられたことがなかった僕を誰とも分からない僕を君は抱きしめてくれた。
それだけで、僕の存在価値は上がり、涙が止まった後はスッキリしていた。
僕は『君の為に生きたい。君の笑顔がみたい』と君に言った。
すると『俺も君もお互いのことをなにも知らない。名前すら…だから、これから2人でお互いを知る為に一緒にいよう』と君は言った。
僕は驚きを隠せなかった。それを見た君はふにゃっと笑い、その顔を僕は可愛いと思った。
これからの事は何も分からない。
だけど、今をこの瞬間を大事にして生きていこうと心に誓った。
【終わらせないで】
#93
11/29/2023, 7:02:09 AM