糸花

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『好きな色』

通信環境が整い、友達のアバターがゲーム画面に現れる。

「おぉ〜、今回は水色だ。なぁなぁ、好きな色ってある?」

あまり自分を語らない友達に、思いきって質問したことが好きな色についてって小学生かよ。

「……考えたことない」

聞かれたことに対しての驚きか、目が合った。少し考えたっぽい? それから、ぽつっと言った。

「俺はさ、赤! このシューズとか、赤のラインがかっけぇって思って買った」
「……へぇ」
「逆にさ、嫌いな色は?」
「目立つ色?」

答えんの早っ! 思いつきで言っていた会話は、ゲーム用語を交えた会話へと移る。制限時間があるから余計なこと、無駄なことはできない。

「ごめん! 体力尽きた」
「いいよ。装備ミスったから変更してくる」

装備の選択ミスなんて珍しい。改めて合流すると、目立つ色の装備になっていた。

俺の好きな赤色だけど、「目立つ色、嫌いって言ってたよな?」

「……剣のデザイン、かっこいいから。それと一式揃えないと効果が発動しなくて。色に濃さとか、淡さがあればよかったのに、それが無いからただ々目立つんだよね」

急によく喋る。自分を語ってくれたかも?

6/21/2024, 1:54:42 PM