NoName

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もう一つの物語。


あの人の好みが変わったので私は髪を切った。
あの人を助けたくて、頼まれてもいないのに沢山自分を削った。
あの人のそばにいたくて、沢山自分を偽った。

そんな私の過去の記憶が、戻った。
記憶喪失になる前の私の人生は、面白いことに私のものではなかったのだ。

記憶まで無くさなければ気づかなかった。
この体は私。
この世界を語るは私。

あの人が居なくても、こんなに広い。

私のために、これからどうしようか。
もう一つの物語を知れた私の、これからの往く道へ。

10/29/2022, 2:46:53 PM