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雨に濡れて肌に張り付くシャツをつまみながら、貴方は土砂降りの空を見つめた。卒業したらこの小さな町を出ていくと私に宣言した貴方。そんな曇り空のような顔をした貴方に私は何も言うことができなかった。
幼い頃、遠くの栄えた地からこの町に越してきた私を一番に受け入れたのは貴方だった。貴方はよく私の故郷の話を聞きたがり、それを語るたび目を輝かせると同時にどこか憂いるような表情をした。小中高とずっと一緒に過ごしていたから、貴方が隣にいなくなることに少し寂しさを覚える。いつの間に止んだ夕立に、夏の空のような笑顔を浮かべはしゃいでる貴方を見ながら痛む胸を抑える。卒業まであと1ヶ月。どうしようもなく町の外に焦がれる貴方と余命1年の私。貴方の想いも私の寿命も最初から決まっていたことなのだろう。貴方が差し伸べてくれた手を掴むことはない。貴方には絶対に言えない。貴方の隣に居続けるには私の寿命は短すぎたのだ。
              #最初から決まっていた

8/7/2024, 10:58:51 AM