上を見上げれば、今日も今日とて綺麗に光り輝く太陽が晴天に浮かんでいるのが見える。
「はぁ、晴れは眩しくて嫌いだな」
「全部全部実際になれば嫌いでしょ。事実、昨日雨がどうとか言ってたじゃん」
それはそうなんだけども。僕に対して友人は今日も冷たい。上で輝く太陽とは真反対である。まあそもそも、晴れも曇りも雨も、何事も利点欠点があるものだ。そして、利点より欠点のほうが人は気にするというもの。少なくとも僕はそう思っているので、僕は全て実際になれば嫌いということが多い。
友人と家に帰るまでの道を歩く。昨日の影響でできた水溜りを遊び心で踏むとぴちゃぴちゃと音がする。少しはねたそれは、僕の足についた。
「ぅわっ、冷たっ」
「バカじゃん」
思わず漏らした言葉に、そう返される。本当にこの友人は……。力強く道端の水溜りを踏んだ。それは当然、友人にかかる。友人は少し固まったあと、僕をポコポコと叩いてきた。少し強くて痛い。でも―――とても、楽しそうではある。
前は、この友人はこうではなかった。とある災いにより周りのものを失くした友人は、その目に光を宿しておらず、ずっと泣いていた。こんな、晴天のような顔ではなかった。
「……」
とある災いから十数年経って、人々は回復した。もう、昔みたいに家で泣き続ける人も、道端で路頭に迷い泣き続ける人も、来るはずもない待ち人を待って泣き続ける人も、だいぶいなくなった。そう、昔はところにより晴れという状況だった。
だが今はどうだろうか。
「ちょっと、何考えてんの?」
「……なんでもない、きっとどうでもいいことさ」
僕らにとっては、きっと。いい方向に転んだに違いない。ただ、ただ―――少し、寂しいだけだ。回復した友人は、皆々と遊ぶようになった。それはいいことだけど……逆に僕は、遊ぶことがなくなっていったのだ。
「まあいいや、帰ろう。特別な存在も今待ってるし」
「特別な存在……ああ。あいつはあいつのような存在を見つけられるのかな、果たして」
もうずっと、友人は別の人を考える。
ところにより、晴れ。数少ない人々だけ晴れにいて、その他大勢は救われない雨の中に昔いた。けれど今はそうじゃなくなった。
ところにより、雨。その他大勢は救われた晴れにおり、未だずっと囚われ続けた数少ない人々は雨の中に居続ける。
「?ねえ、大丈夫?」
どれだけ経とうと、どんなことが起きようと、晴れの中を歩く人は必ずいる。雨の中を歩く人は必ずいる。ところにより晴れだった友人は、ところにより雨になった。なら、なら今の僕は、―――。
「特別な存在が待ってるんだって。行ーくーよ」
考え事をしていれば、むすっとしている友人が目に入った。ああそうだ、今は僕の心情なんてどうでもいい。特別な存在を、特別な存在に戻してやらなければ。
そのためには、僕はところにより雨でなければ。元気付ける人の元気がないなんて、本末転倒もいいところだ。ところにより雨、ところにより雨。僕の心には災いにより少し水溜りができてしまったが、それだけ。大丈夫、大丈夫。
「はいはい、わかったよ」
どす黒い嫉妬心が雨雲にならぬよう、押さえつけて。友人は、友人。そこを外れることも上に行くことも、ありえない。ありえてはくれないのだから。
―――今日の天気は、やっぱりところにより雨、だ。広範囲は晴れでなければ、そうでなければならない。
友人の隣を、友人として、広範囲晴れの範囲であるここを通り、家に帰った。
3/24/2026, 12:00:58 PM