泡沫花火

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ふと、僕は、本当にこれでよかったのか、自分をなぞってみるときがある。
分からなくなる。僕がここに居た証や、その答え方を。

夢や理想を立派に掲げて、負けず嫌いだと自覚して、悔しいと涙を流すくせに。
いつだって目の前のことだけで精一杯で、自分の理想になれたことが一度もない。

時おり向けられる羨望の眼差しが後悔と嫉妬を融解して、どろどろになった世界で息をしている。
吹き荒れる荒波が織りなす雨音に心が擦り減って。
僕と同じ船を造ったはずなのに、静かな波音で海を拓くあいつがずっと羨ましかった。

こんなにも、醜い感情に溺れながら、どうして僕は今日を生きるのか。

朝食が自分の好物で美味しかった。
いつもよりも余裕をもって家を出れた。
食堂のおばさんが唐揚げを一つおまけしてくれた。
午後四時の夕日が灯火の色みたいで綺麗だった。
見上げた夜空で煌めく光に言葉を奪われた。

何気のない、一つ一つの優しい出来事に答えがあるのかもしれない。
置き去りの答え。止まらない鼓動の音、その意味が。

僕のしてきたことは消せない。過去は、変えられない。
でも、理想になれない僕が僕としてやってきたことも、消えないんだ。

間違ってもいいから叫びたい。
僕の胸の残り火がこの掌に灯るまで。

迷ったっていいから探しに行こう。
僕の手に宿る灯火の私上命題を。

9/3/2024, 9:58:26 AM