長いまつ毛に少し開いた厚い唇。横でスヤスヤと眠る君の横顔を見つめる。君が朝寝坊した日しか見られない、貴重な瞬間だ。
君の自慢の長い黒髪がひと束、顔にかかる。君を起こさないように、そっと後ろへ撫でつけた。そのまま髪の毛を梳かすように頭を撫でると、君は身じろぎながら擦り寄ってきた。
あまりにも愛おしく、愛らしい行動にたまらない気持ちになった。
抱きしめたい衝動を堪えて、君から手を離した。音を立てないようにベッドから抜け出して、部屋を出た。
料理上手な君にいつも任せきりだから、今日は朝食だけでも用意しよう。
ケトルのスイッチを入れて、君が目覚めるまでに用意するのが目標だと心に決めた。
『目が覚めるまでに』
8/3/2024, 11:15:25 PM