ストック

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Theme:通り雨

雨粒が激しく全身を打つ。熱いとすら感じていたので心地よく感じる。
身体を汚した血糊を洗い流してくれるのもありがたい。
でも、こうして雨に打たれ続けていると、今度は寒くなってきた。

「寒いよな。もう少しの辛抱だから」
肩を貸している相棒に語りかける。
何を訴えたかったのか、相棒は小さく首を横に振った。

濡れた石に足を滑らせてしまい、あっと思ったときには転倒してしまっていた。
咄嗟に相棒を抱き抱える。全身に更に鈍い痛みが走った。
起き上がろうと力を込めるが、それは叶わなかった。

「ごめん。これ以上、進めそうにないや」
腕の中の相棒に話しかける。
彼は小さく微笑み返してくれた。「寒いな」と小さく呟く。

雲の様子をみるに、これは通り雨だろう。すぐにカラッと晴れるはずだ。
そう伝えたかったが、寒くて歯の根が合わない。
それに、伝えたところでもう相棒には聞こえないだろう。

そうしているうちに雨が止んで、陽の光が雲の隙間から覗き始めた。
俺の寒さも随分和らいできた。痛みも雨と一緒に引いていくようだ。

せめて、最期に一緒に陽の光を見たかったな。もう少し待っててくれればよかったのに。
そんなことを考えながら、俺は静かに目を閉じた。

9/27/2023, 10:37:07 AM