誇らしさ(番外編)⑲の続き
海へ(番外編)⑳
●再びの海
サーフボードに飛び乗りハイネ波を捕まえ
波に乗る。
色付きグラスの眼鏡を掛け日差しを
避けると再びの波を捕まえに掛かる。
そうしてまた一気に乗りボードの上を足で
踏ん張り波の道をまた駆ける。
ザブンと大波が来てハイネの体は、
ひっくり返り海に吞まれるがハイネは、
それも楽しくて気持ちがハイになっていた。
「最高~」ハイネは、思わず拳を空に
突き上げる。
今日は、また皆で海へ来ていた。
しかも前みたいに海の家のバイト終わりとかでは無く純粋に海水浴に来たので
民宿に着くやいなやハイネは、
速攻で水着に着替え前からやりたかった
サーフィンに没頭していた。
一方ミーナ ナイト シズクの三人は....
「ミーナ.... ナイト....ごめんね....」
「何言ってんの全然だよ!それに
僕は、サーフィンとか向いてないんだよね
ハイネみたいにあんなに夢中になれないや」
「ほらシズクゆっくりで良いからね!」
ミーナが浮き輪を装着しているシズクの
両手をゆっくりと引く
シズクは、ミーナに手を引っ張られながら
体を浮き輪で浮かせゆっくりと泳ぐ
シズクは、ミーナとナイトに付き合って
貰いながら苦手な泳ぐ練習をしていた。
(よいしょ よいしょ)シズク何とか
両足をバタつかせ泳ぎの形を保っていた。
「そうシズクその調子よ!」
「頑張れ!頑張れ!」ミーナとナイトが
応援してくれる声を聞きシズクは....
(あ....)と昔の事を思い出す。
『シズクその調子よ!』『頑張れシズク』
(お父さんとお母さんもこうやって声を
掛けてくれて泳げない私を応援してくれた...)お父さんとお母さんの事を思い出し
懐かしい思い出がシズクの中に蘇る。
(そうして海で泳いでたら大きな波が
来てそうしたらお父さんが...)
シズクが思い出の波に没頭していると...
「ちょっとハイネ何やってんの~」
「ちょっとハイネこっち来ないで」
ミーナとナイトの声が聞こえてシズクが
思い出の波から浮上すると....
ザッパ~ンと大きな波がシズク達に
押し寄せシズクは気が付いたら大きな波を
被っていた。
シズクは波を被り混乱してパニックになる
いつの間にかミーナの手を離していた。
シズクは少し海の水を飲んでしまう
(ミーナ....ナイト....)シズクは海の中で溺れ掛け怖くなる。
すると大きな手がシズクの体を持ち上げる。
海から上昇したシズクは、体が浮上し
ハァハァと息を吐く。
海の水を飲んでしまい少し鼻の奥がツンと
して痛い。
シズクは、気持ちが落ち着いて周りを
見回すと....
「シズク大丈夫!!」「ハイネあんた
シズクに謝りなさいもう少しでシズク
溺れる所だったのよ!」
「うるせ~なぁだからちゃんと助けただろうが~ 波が俺を呼んでたんだよ!」
ハイネは、シズクが波に吞まれて行った
所を目撃し一目散に助けに行ったのだが..
意地っぱりな性分が出てしまい
つい心にも無い事を言ってしまう
(俺の馬鹿.....)内心では、後悔しつつも
素直に謝れない。
見るとシズクが丸い目で、ハイネを見上げていた。
するとシズクがハイネにだき抱えられながら口を開く
「ハイネって....」シズクの言葉にハイネの
肩がピクリと上がる。
「何だよ....」ハイネが嫌われたかもと内心
びくびくしていると....
シズクがにっこりとハイネに笑って....
「ハイネってお父さんみたい!」
シズクのその言葉にハイネは、固まる。
それを聞いたミーナとナイトも笑いを
堪える様に肩を震わせていた。
「はぁ~あテメェ寝ぼけてんのかぁ~
もう一回海に沈ませるぞ!」
ハイネが拳でシズクのほっぺたをグリグリとする。
ほっぺたをグリグリとされ痛がるシズクは、涙目になり「ごめんなさい....」と
ハイネに謝った。
こうして二度目の海は、いつも通り
がやがやと過ぎて行った。
8/24/2024, 2:29:56 AM