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【また会いましょう】
 後ろ髪引かれながら、冷たいドアノブに手をかけた。全部自分で決めたのだし、貴方も望んでいないだろうから、きっともう2人きりのあの部屋には戻れない。
 夜の新橋の空はしんと冷えている。チラチラと光る飲み屋の明かりをぼうやり視界に入れて、明日を思っては泣いた。下を向くと重力に従った髪がカーテンの役割をもって、喧騒がなりを潜め世界から切り離されたような。なんだか迷子になった小さな子供みたいで、不安と逃げ出したくなる気持ちから鼻の奥がツンと染みる。人差し指で目尻を拭いた時、スマートフォンが震えて、ふわり、明るくなった画面に1件のメッセージを認めた。

『いつ帰ってくるの?』

いいのだろうか、何度も何度も間違いを繰り返した私が、貴方の元に。

『初めからやり直しましょう。あの時みたいに待ち合わせて、また会いましょう。』

ブー、もう一度スマートフォンが震えて、

『何度間違えても、君じゃなくても良かった世界でも、君を選ぶよ。それが答えじゃあないかな。』

11/13/2024, 3:00:08 PM