「本当に期待を裏切らないわね」 咳払い。返事をしようと口を開いたのに喉から勝手に空気が出ていった。鈴音は呆れながら俺の額にある熱さまシートを変えている。「病院はいったの」 首を振る。「そう」 額が氷のように冷たくなる。しかしそれもすぐに熱くなる。風邪とはこれの繰り返しだ。「じゃあ、…今度こそ家を出るから」 ありがとう。嗄れた声でようやく言うと、鈴音は俺から顔を背けたまま荷物を持って出ていった。
12/17/2023, 6:48:05 AM