SAKU

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やっと母の施設では外出も可能になり、雪が降る前に一度は母をドライブに連れて行きたいと思い、今日、決行。母は、外の空気に触れるのは病院へ連れて行かれる以外にはなかったから、自由外出は4年ぶりになる。

施設から連れ出して、
わたしがいつも行っているスーパーへ行って、ちょっと買い物してから自宅へ連れて来た。

その時に、
「熊が新幹線に乗って大変だったみたいだよ、木を切るから人間が悪いんだ、熊は悪いことはしてない、生きてるだけだ、」と、母が言った。(実際のニュース内容とは違いました)


ラジオでそのニュースを聴いて、誰かと喋りたくて喋りたくたまらなかったけど、まわりの入所者は世の中のニュースなど興味なく、話し相手にならなかった、ということだった。母が恐れているのは、そういう環境にあって、自分も世の中の何も興味が無くなる事が怖いらしい。

気丈で頑張り屋で働き者の母らしい若々しさだと思う。

そのニュースに関しては、わたしも知らなかった。

母は、わたしに、
「見える目があるのにニュース見てないのか!」と怒った。

すんません………

母はわたしに、ひとしきり怒りをぶつけて、

「なんかいい車になったね?、」と言った。

5年落ちの中古車で今年で7年になります。ディーラーで120万で買いました。わたしのなけなしのお小遣い、即金で買いました。

母は、
「そう、金持ちだね、」とか言って、
「前の車はボロだったからね、」
と。。

確かに前の車は、10年落ちの中古で40万、3年でマフラーに4ヶ所亀裂が入り、後ろの車軸がサビでボロボロ……蛇行運転をなんとか制御しながら乗ってた。初めての車だったから、蛇行運転もそういうもんだと思って、、今の車が、ハンドルまっすぐで走ることに驚いた。。


そんな事を話したら、
「あんたは、むかしっからそういうところあるバっカだねぇ、車はまっすぐ走るんもんだから、こっわい、事故しなくてよかったよぉ……」

わたしは!!、あんたのバカ娘ですよ!
と言いたかったけど、喧嘩してもしょうがないので………、

しばらく走ってると、
「…死んだ〇〇おじさんや、シロやエリがあんたを守るって夢に出てくるから、大丈夫だろうけど、気をつけなよ、」

シロは中学生まで飼っていた犬で、エリは息子を産んで1年目で死んだ猫。

なんだか、胸が、
ツン、とした。

亡くなった人や、ペットの、いろんな人の想いを、わたしは背負っているんだと思うと、胸の辺りから涙という感謝がこぼれてきた。

わたしはゾンビだ。
過去にも四柱推命の先生から、『貴女は、少なくとも、3回は死ぬような目に遭っている、守護霊が相当強い』と、言われた事がある。

母が死んだら、ますます強くなる、
それは何故なのか、、

やりたいこと、じゃなくて、
わたしには、やるべきことがあるからだ。
それは、もう分かってる。

施設に着いて、母が車から降りる時、職員さんに身体を支えられると、母はとても弱々しくちんまい老人になってしまった。

あんなにわたしを怒ってくれてたのに、
わたしの去り際に、何か言いたくても言葉にならない様子で、「また、」とだけ言った。

母には、「足は寝てても動かしてね、」と、言った。本当に一歩も歩けない、力が入らなくなったら、車に乗せることもできなくなるから。

がんばって。
頑張り過ぎないで。
わたしもがんばる。
無理しない、りきまない、有明の月。

祈りの果てには、また、
祈りでしょ。


11/13/2025, 11:08:06 AM