【光と闇の狭間で】
東の空に昇る朝日が、世界を鮮やかに照らし出す。優しい黄色の光に染められた砂浜で、君は楽しそうに鼻歌を口ずさんでいた。その背後でキラキラと、大海原が眩しく輝く。
防潮林の木陰から、僕はそんな君の姿を見守っていた。茜さす砂浜で君と手を取り合い踊れたなら、どれほど幸福な気持ちになれるだろう。だけど同時に、そんなことをしたら太陽の眩しさに身を灼かれてしまいそうだとも思う。誰とも深く関らず、誰にも愛されず、誰のことも愛さない。それが僕の生き方で、僕の自己防衛方法なのだから。
君が僕を振り返り大きく手を振る。おいでと誘われているのはわかっていたけれど、気がついていないフリをしてひらひらと手を振り返した。
真っ暗闇の中に一人で引き篭もれる度胸もなければ、光に包まれた場所で笑う君の隣に立つ覚悟もない。中途半端な僕はこうして光と闇の狭間の場所から、君を眺め続けるのだ。
12/2/2023, 11:23:29 PM