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 青々とした色が完全に抜けきり茶色くなって風に吹かれていた。夏には太陽の光で葉脈まで見えていたのに今の葉は透けて見えるところなんてない。ほとんど枝しか残っておらず寒々しさが増しているけど、そのかわりに葉が一枚一枚落ちて別の意味で見通しが良い。

 見上げると枝の間から空がすぐ見える。根元を見るとこの木で育った葉が隙間なく敷き詰められていた。さくさくと、こ気味のよい音がする。

「乾燥してるもんね」
 私の指も潤いを失いカサついて、葉を拾い上げて曲げるとパキッと割れた。水分を含んでいただなんて信じられない。緑の時はしなやかに曲がっていたのに見た目も質感も変わりすぎてこの木で育った葉だとは思えなかった。
 水も色もなくした木はひどく寂しげに見えるけれど、近くで観察すれば幹に小指ほどの緑の葉が。

「ちっちゃい…!」
 小さな発見を四季が移ろう一欠片だなんて心踊らせて『枯葉』の絨毯を歩いていった。

2/20/2023, 3:32:16 AM