アクリル

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あなたとわたし


理屈を通り越した涙が止まらない。
ずれた布団カバーを握りしめて
ただこの波が過ぎ去るのを待っている。


泣いても仕方がないことくらいわかっていた
嫌になる程繊細な人間であることに
目を逸らしながら、気づいていた

やけに辛いものを食べ続ける体を
どうしても己と認識できない。
薄れる自認はきっと脳のせいだ

私が私でいようとすると生まれる不都合に
耐えられないわけではないと
思い込もうと必死になる
誰よりも自分でいたいくせに。

何者であるかを自覚していたのに
言葉が追いつかなかったが故に
散々苦しんだあなたを
迎えに行こうと思った。

つづきをきかなきゃ
聞こえなかったから

何か大切なことを聞き逃している
何か重大な見落としがある
きっとそれが、気づいてしまえば
愕然とするような事実であったとしても
見つけなければならない

社会的視線の檻で終わろうとするあなたは
わたしにしか救えない

何にも期待しないような顔で
救って欲しくてたまらないあなたが
疑い深い目で差し出した不恰好な何か

よく見るとそれは
ぼてっとした心のかたまりで
何か言いたげにしている

大人ぶることで身を守る私には
とうてい聞き取れないほど弱々しく
小さすぎる声で
本音を放とうとしているように見える

妥協なく私であらせて欲しい
どうか私を生きさせて欲しい

覆い隠せない願いだ
わがままなんて言わせない

なんてね、で願いを掃き捨てる習慣さえ
檻の外へ蹴り出してしまえばいい

あなたはちっとも救われない顔のままだけれど
わたしは檻の外で待つよ

もし出られたら、わたしと
冗談のつもりでハグをしよう。

11/7/2024, 7:14:29 PM