『クリスマスの過ごし方』
クリスマス時分にはスペシャルなケーキが人気でショートケーキのほうは今ひとつなので、余り気味のそれらをここぞとばかりに買い込んで実家へと向かう。去年のクリスマスにばあちゃんが亡くなった。3桁には届かないながらもピンピンコロリの大往生だったので悲しみ3、おつかれさま7ぐらいのあまり湿っぽくない葬式だった。戦前から令和を駆け抜けたばあちゃんは甘いもの好きで和菓子も洋菓子もいける口だったのだが、とりわけショートケーキが好物だった。
来客用の座布団がきちんと等間隔に並ぶ広い仏間は閑散としているが、明日になれば叔父さん叔母さんたちがお供えに最中やまんじゅうや洒落た焼き菓子なんかを持ってやって来るのでにぎやかしく、そして甘いものだらけになることだろう。
「俺からはこれです」
お皿に乗せたショートケーキに顔をほころばせるばあちゃんを思い浮かべながら、おりんを鳴らして手を合わせた。
12/26/2023, 3:35:27 AM