はた織

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 林檎の皮をしゅるしゅると親指のナイフで剥いていく。

 明日食べられる鶏は何羽いるだろうか。
 明日天に召される鶏は何羽いるだろうか。
 明日ゴミ箱に投げ入れられる鶏は何羽いるだろうか。

 林檎の皮をしゅるしゅると人差し指のナイフで剥いていく。

 特別な日だからと言って、
 腹の中に鶏を詰め込む人は何人いるだろうか。
 サンタクロースやキリストを、
 晩餐に招かず鶏を食べる人は何人いるだろうか。
 頭の中にも鶏を詰め込んでコケコッコと騒ぎ、
 聖なる夜をけがす人は何人いるだろうか。

 林檎の皮をしゅるしゅると薬指のナイフで剥いていく。

 知恵の実を食べても胃の中に転がり落ちるのみ。
 私たちの食道にはリリスが巣食っている。
 底無しの欲に未だイブの純真は貪り食われている。

 しゅるしゅると林檎のリボンはみな蛇になった。
                (241224 イブの夜)

12/24/2024, 1:07:18 PM