フィロ

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東京のど真ん中の多くの人々が行き交う大通りから少し入った裏通りの館で、それはそれは多くの方々の人生を覗かせて頂いて来た者でございます

世の中には本当に様々な、大小それぞれの悩みを抱えた方が多くいらっしゃるもので、そんな方々のお蔭で私の商売も繁盛させていただいておりますことは、本当に有難いことでございます

こんな事申し上げるのは何でございますが、他人の不幸は蜜の味とは良く言ったものでございます…


さてさて、今日も朝からいろいろなお客様がいらしております

朝一番にいらした男性は、まあそれは横柄な態度の方で
「ここの占いは良く当たるそうじゃねーか   俺はこれから宝くじを買いに行くのよ  どこの売り場の何番あたりが良さそうか占ってみてよ」

と、まあ何と図々しいことを!
こちらは預言じゃございませんので、
そんな質問の方には決まってこう申して差し上げますの
「運というのは一生に与える量が決っていると申します   ですから、万が一宝くじ1等なんぞ当たった日にゃあ、一生分の運を使い切りますわよ
どんな事もほどほどがようござんすわよ」


もちろん、その方はプリプリ怒って帰られましたよ(笑)

(そんな事が分かれば、私が真っ先に買いに行くってーの)


次の方は、大変深刻な面持でいらっしゃいましたねぇ
何事も思い悩む質の方のようで
「先生、私はあと何年生きられるでしょうか?   それが分からないと先へ進むのが恐ろしくて…  分かっていれば、色々とやり様があるじゃないですか?」

こういう方、結構多いんですの
ご自分の寿命を知りたがる方
でも、これは分からないから生きていけると言うものです
昔から、知らぬが仏と言うじゃありませんか

だから、そういう方には必ずこう申し上げますのよ
「あと、どれくらい生きられるではなくて、命尽きるその日までただひたすらにお生きなさい   やりたい事があったら先延ばしにせず、とっととおやりなさい  そうしている間にそんな事は気にならなくなるし、気がついたら、こんなに生きちゃったわ!って思えるようになりますよ」

(あんたがどれくらい生きるかなんて、私の知ったぁこっちゃない  
それこそ、神様のみぞ知るってもんでしょ)


とかく世の中は皆悲喜こもごもいろいろなものを背負って生きているもので、
お陰さまで私の商売も今日も満員御礼でございます





『神のみぞ知る』

7/5/2024, 5:58:03 AM