千明@低浮上

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「もう今年も終わりだね」
「ええ、早いですね」

彼と2人、神社への道を歩く。
コロナウイルスが世界に蔓延って3年目。今年も密を避けて、との政府からのお達しを律儀に守って年末詣をすることにした。最近では幸先詣、ともいうらしいけれど。

「ねぇ、ありがとうね」
「はい?」
「今年、私と付き合ってくれて。こうして今も、一緒にいてくれて」

パチクリ、と開いた彼の目がふっと撓って弧を描いた。

「それはこちらのセリフです」

握られた手のひらにぎゅっと力が籠った。

「今年、貴方に恋をして嫉妬を知りました。それから貴方が私のものになった時は心からの幸福を。そして貴方が私のものになっていると知った時のライバルの顔を見た時は優越感を」
「ふふ、私も一緒だよ」
「来年も、ずっと一緒にいてください。軒並みな言葉ですみませんが、本心です」
「うん、もちろん」
「絶対ですよ」
「絶対絶対だよ」

今年を振り返って、そして来年に思いを馳せながらクスクスと笑って、2人で歩く。
こんなに幸せな一年の終わり方は他にないと思った。

#1年間を振り返る

12/31/2022, 2:37:20 AM