【逆光】(300字)
今日はデートの日だ。
めいっぱいにおめかしをした彼女が、待ち合わせ場所に現れる。ふんわり巻いた髪、風になびく淡いワンピース。
私は目を細めて彼女の姿を確認し、すぐに視線を逸らす。彼女の輝きは、私には眩し過ぎる。
彼女は人混みの中に恋人の姿を見つけ、ぱっと満面の笑みになる。私はそれを注視しないよう気をつけながら、二人並んで歩きだす彼らを、そっと目で追う。
彼女の輝きを遮って、濃く浮かび上がる、彼のシルエット。今日も黒い服がよく似合っている。彼女のお陰で、彼はいっそう格好よくなった。
私は彼を好きだったはずだ。だが、彼女の光に目を眩まされて、もはやどちらに恋をしているのか、わからなくなっている。
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どっちにしろストーカーでは……
お久しぶりです。休眠中もときどき♡をいただいていたようで、ありがとうございます。
コンパクトにストーリーを作る練習として、300字ぴったりで書いてみました。今後もたまに300字に挑戦したり長めの話を書いたり書かなかったりする予定です。よろしくお願いいたします。
1/25/2024, 4:55:04 AM