郡司

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何もいらない、と。
さて、強欲な私には難しいお題だ。
そもそも「何も」とは?
物理的なもの?
心理的なもの?
社会的なもの?
目に見えるもの?
目に見えないもの?

生活するには、「何もいらない」などということは絶対にない。まず生活費が要る。家族にかかる各費用も賄う必要もある。
生きものだから、食べ物や水が要る。空気も要る。雨風しのげるすみか、服だって無いと困る。あ、太陽の光もないと、病気になりそうだから必要だ。
人間だから、生きてゆくモチベーションも必要だ。
要るものいっぱいあるな…

でも、死ぬときには生涯をともにしてきた身体さえ置いてゆく。清々と身軽に旅立ちたいものだが、これは「何もいらない」という感覚かと言うと、少し違う気もする。子ども達や愛する人の幸いを(そうあって「ほしい」と)願うことは手放さないだろうし、自分の往く歩みが豊かであることへの希望も手放さずに、死の敷居を越えるだろう。
命を削ぎ落とすことは不可能だ。

大切な人達が幸せであることが「ほしい」
許されるなら、魂に抱いて往ける愛が「ほしい」
…やっぱり「何もいらない」が思い浮かばない。私のような強欲者に、こんなお題はまったくダメだ。

4/20/2024, 11:25:36 PM