学校からの帰り道。
日が傾き、街がオレンジ色に染まる。
お気に入りのカフェの影が長く伸びて、私は自然とそちらに向かった。
ーーカラン
カフェに入ると、軽やかな音が出迎えた。
木目調のデザインが暖かく迎え入れてくれる。
まるで、「おかえり」と言っているように。
いつものように窓辺の席に座り、キャラメルフラペチーノとチョコレートケーキを頼む。
疲れた時も、元気な時も、甘いフラペチーノとほろ苦いチョコレートケーキを食べると、自然と笑顔になる。
少しして、頼んだものが運ばれてきた。
フラペチーノを一口飲んで、チョコレートケーキを頬張った時。
「っ...」
涙が溢れた。
学校や、家であった辛い出来事が頭にフラッシュバックする。
過度な期待。
妬み。
嫉妬。
私は、いや、私たちは、いつもいつも他人や自分の黒い心に首を緩く締められながら生きている。
片時も忘れることの出来ないそのドス黒い声たちは、捕まえた獲物を二度と離さないだろう。
でも、その声はいくらでも無視できる。
「思い通りになんてさせてやんない。」
私は涙を拭って、カフェをあとにした。
ぬるくなったフラペチーノを飲みながら家路を辿る。
さぁっと少し冷たい風が吹く。
もう、秋は始まっていたみたいだ。
2023/9.27 秋🍁
9/27/2023, 9:30:03 AM