hinoco

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◤鋭い眼差し◢

クールでかっこいいと人気の生徒会長がいる。
細いフレームの眼鏡がすごく似合っていて、もちろん頭もいい。
かといって冷たいわけじゃなく、人当たりもいい。教室の評判もよく、誰かと話すときは微笑みを絶やさない。
入学してこのかた何度も告白されては好きな人がいるとふり続け、一途なところも素敵だと密かにファンクラブまでできている。
そんな完璧人間な生徒会長サマは、オレのクラスメイトだ。
とはいえ平々凡々……よりさらに下のオレとはそれ以外特に接点もなく、会話だってほとんどしたことはない。
――はずなんだけれど。
「……なあ、お前また睨まれてるけど」
「知ってる」
やたらと鋭い眼差しがこっちを向いて、目が合った瞬間逸らされる。
オレだけはなぜか、たまにこんなことがある。
「やっぱりお前なんかしちゃったんじゃないの?」
「なにかするほど関わってねぇって」
本当に、心当たりはまったくない。
迷惑をかけている可能性があるとしたらバカでクラスの平均点を下げているくらいだけれど、それだって似たような成績のやつは他にもいる。
今現在騒いでいてうるさいわけでもないし、何度考えても謎のままだ。
「どうしたもんかね」
理由なきそれは、正直あまり気分のいいものではない。
いつか直接聞いてやろうと思う。
……まあ、卒業するくらいまでには。

10/15/2023, 2:03:27 PM