John Doe(短編小説)

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ウエスト・サイドの路上にて


『ジェイクのヤツがおかしくなっちまった』

学校の連中はそう口々に言った。土曜日の午後のこと、落雷がジェイクの後頭部に直撃したんだ。それまでのヤツはすごく意地汚いヤツで、礼儀なんてまるで兼ね備えてないロクデナシだった。そんなヤツがある朝、教室に入るなり掃除を始めやがった。

「何してんだよ、掃除なんか清掃係のおばさんに任せりゃいいじゃんか」

「やあ、ルー! ちょっと教室の汚れを綺麗にしたくなってね。今日の朝は気持ちがいいな」

今すぐ病院に行って頭の手術を受けるべきなんじゃないかとか、もう一度雷にうたれて来いとか、クラスメートは口々に彼を心配した。だけど僕としてはだな。ジェイクは今のままでいいんじゃないかと思ったんだな。だけど今まで僕を見下すような態度で『お前』と言ってたヤツが『君』とか言い出すとかなり不気味だったな。でも、僕のストレスはかなり軽減されたよ。雷に感謝してるくらいさ。

だけど、ヤツはそれから数日後に死亡した。ウエスト・サイドの路上にてうつ伏せに倒れていたのを通行人が警察に連絡し、発覚したそうだ。医者が言うにはかなり重症だったそうだ。
少しでも面白がっていた自分を呪いたいね。だってジェイクはイヤなヤツではあったけど、死んで欲しいとまでは思わなかったんだから。

だけど、僕を含めたクラスの連中らがヤツの家族に『彼は本当に良いクラスメートでした』なんて言ったら僕らは最低最悪の偽善者になるのだろう。

10/20/2023, 4:05:52 AM