【時計の針】
三本の針は休みなく動き続ける。
短針は一時間かけて、長針は五分かけて、秒針は五秒かけて隣の文字へ移動する。
わたしたちは彼らに「止まってしまえ」「早く進め」など好き勝手言うが、彼らは淡々と自らの仕事をこなす。
それは実直であるが奴隷的だとも言える。
彼らの公転は美しくもあり悲しくもある。
一時間に一度、三本の針が重なる刹那こそ、彼らが安らぎを得る瞬間なのではないかと想像してみる。
なんにせよ、正確な時を教えてくれる彼らは、わたしたちにとって必要不可欠な存在なのだ。
ぼんやりと時計を眺め、三本の針へ思いを馳せる時間があってもいいじゃないか。それはなかなか素敵な時間の使い方なのではないだろうか。
2/7/2023, 9:08:59 AM